2014年4月24日 | カテゴリー:お知らせ
4月1日のブログでホットラインのご案内をしましたが、このたび、大阪市生活保護行政の不当対応ホットライン第2弾を5月9日(金)午前10時~午後5時まで、フリーダイヤルを使って行います。5月末に大規模な調査団活動に向けて、具体的な事例を集めています。詳しくは、チラシまたは下のウェブページをご覧ください。
2014年4月11日 | カテゴリー:お知らせ
4月9日、大阪市生活保護行政問題全国調査団実行委員会が結成され、各団体や当事者から問題のある生活保護行政の事例が報告されました。
実行委員会の結成を受け、具体的な調査団活動が開始されます。調査団活動に参加して下さる方を募集するチラシが出来上がりましたのでこのブログでもご案内させていただきます。
○第1日目 5月28日(水) ★できるだけ午前中の学習会からご参加ください。
午前 学習会(大阪市の生活保護行政の概要、問題点の学習と調査についての意思統一)
会場:大阪府保険医協会M&Dホール
時間:10時~(9時30分受付)
お弁当を用意しますので、弁当代(500円)のご負担をお願いします。
午後 昼食後、調査先の区ごとに分かれて移動し、区役所との交渉・懇談
夜間 「大阪市の生活保護行政を考える市民集会~区役所交渉でなにがわかったのか(仮称)」会場:エルおおさか南館ホール
時間:18時30分~
○第2日目 5月29日(木)
午前 大阪市本庁交渉・午後 記者会見を予定(時間帯・場所は決定次第お知らせします)
【交渉対象区役所】
24区のうち特に生活保護行政が厳しく、具体的な事例が報告された行政区・実施機関数か所に交渉を行うことにしています。同時に本庁に対しても実施します。
※注意!調査・交渉スケジュール予定は、大阪市と調整中であり、都合によりスケジュールが前後変動する可能性があります。
2014年4月06日 | カテゴリー:法律
大阪市は、「生活保護制度をとりまく状況について、市全体の共通の課題認識に立ち、より効果的・効率的な手法や体制及び国への制度改革要望について検討を進め、本市生活保護行政を適正に執行していくため、区長を中心に、福祉局を担当する副市長以下関係する部局で構成する大阪市生活保護適正化連絡会議を設置」している。同連絡会議が公表する大阪市の生活保護の動向に関する資料に基づいて、この間の大阪市の生活保護の動向と分析を試みたい。
(公表資料)
平成25年10月16日に行われた第6回の連絡会議添付資料http://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/cmsfiles/contents/0000239/239615/20131017001000000000.pdf(以下、頁数は同データ右下の頁番号を示す。)
※大阪市は、「高齢者世帯」と「高齢者世帯以外=稼働年齢層」という分類を行っているが、生活保護の利用類型は、本来、「高齢者世帯」、「母子世帯」、「障がい者世帯」、「傷病者世帯」、「その他世帯」に分類して検討を行う必要があることを指摘しておく。そのため、大阪市が稼働年齢層と位置付けた「高齢者以外の世帯」には、稼働能力の活用に支障があると考えられる母子・障がい者・傷病者世帯を含んでおり、さらに「その他世帯」にも、高齢者・母子・障がい者・傷病者がいることを踏まえる必要があるので「高齢者世帯以外=稼働年齢層」という前提は精緻を欠くものである。
1、 動向と分析
2頁【全国政令市にみる被保護世帯数の動向】
平成24年7月と平成25年7月の全国政令指定都市の保護動向を比較している。
全国的な傾向は、保護人員は1.6%増 保護世帯は2.5%増という傾向を示している中、唯一被保護世帯数が減少しているのは大阪市だけである。
高齢者世帯以外(※以下同じ)についてみると、大阪市を含む政令市10市で減少している。
減少率だけでなく、減少数にも着目する必要があり、他の政令市は高齢者世帯以外の減少数が5~約500世帯の幅であるのに対し、大阪市は2936世帯ときわめて突出している。
緩やかな景気回復、有効求人倍率をはじめとする労働市場の回復は、地域差はあれど全国的に共通の方向を示すはずであるが、大阪市が突出した傾向を示すことになった理由はどこにあるのだろうか。
3頁【大阪市保護世帯・全体】
平成24年9月と平成25年9月の大阪市における生活保護世帯数が432世帯減少している。直近の報告ではさらに対前年同月比605世帯減少となっており、8か月連続で対前年同月比減少している。
ただし、これは全国的傾向である高齢者世帯の増加を含んだものであり、世帯減少の実態を把握するためにはもう少し詳しくみなければならない。
4頁【大阪市保護世帯・類型別】
大阪市の保護世帯数減少は、高齢者世帯の増加数2531と高齢者世帯以外の減少数3003の差として生まれるものであり、高齢者世帯以外が3000以上減少した結果である。そしてこの傾向は現在も続いている。
高齢者世帯が増加しているのに対し、高齢者世帯以外は、平成22年度は増加し、平成23年度に横ばい、平成24年度から減少に転じ、平成25年から現在まで減少している。このことから、大阪市の生活保護の動向として、高齢者世帯の保護利用はこれまで通り増加の一途を辿っているが、高齢者世帯以外については、平成23年度に増加にブレーキがかかり、平成24年以降は高齢者世帯の増加を吸収し、その後、これを上回る規模で保護世帯が減少している、というものである。
同連絡会議では、これを就労自立支援と不正受給対策等適正化の取り組みの効果が表れたものと評価しているようである。
確かに、大阪労働局が公表する平成24年大阪労働局統計年報
(http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H26/toukei/251018-1.pdf)などによれば、平成24年の大阪市内の有効求人倍率等の改善は認められる(大阪府内は依然として低迷している。)が、大阪市内各区福祉事務所の実施体制(充足率61%程度)の実態や任期付職員や非常勤嘱託職員の代替補充など熟練職員が減少している中で就労支援員による支援がこのような結果に結びつくほど奏功しているとの情報は確認できず、また、不正受給対策等適正化の取り組みが保護世帯の大幅な減少に結びつく理由も判然としない(大阪市が、不正受給対策として公表している数値によれば、後記のとおり、却下・停止・廃止件数の合計94件程度である。)。
5頁【大阪市各区別:被保護世帯・高齢者世帯・高齢者世帯以外の動向】
平成24年9月と平成25年9月の大阪市各区の保護世帯の動向について、高齢者世帯は全区で増加し、一方、高齢者世帯以外はほぼ全区で減少している。
大阪市が低迷する捕捉率と顕著な高齢者世帯の増加傾向にもかかわらず保護世帯総数を減少させたことは、高齢者世帯以外の保護世帯を稼働年齢層と“想定”して、この層に対するきわめて厳しい姿勢と強い方針でその抑制を計った結果といえる。
6頁【大阪市生活保護費全体推移】
平成20年から平成24年の大阪市の生活保護費(決算)の推移に関し、平成24年において22年ぶりのマイナスに転じている(平成23年度決算額2978億円→平成24年度決算額2954億円の24億円減となっている。)。
内訳は、医療扶助費と生活扶助費の減少である。さらに直近の資料によれば、平成26年度予算要求額は2944億円とされ、さらにこの傾向が続いている。
高齢者世帯の増加にも関わらず、医療扶助費が減少に転じていることについて、その理由は判然としない。
7頁【大阪市生活保護費・各区・扶助費別】
平成24年度決算見込額2954億円の内訳を、各区別・扶助費別に示す。
各扶助費は、対前年度比よりも増加している区もあり、一律に減少して24億円の減が導かれているわけではない。
特筆すべきは、24億円もの減少計上に大きく寄与している区があることである。都島区の医療扶助1.9億円を含む2.6億円の減少、浪速区の生活扶助費2.1億円を含む3.5億円の減少、西成区の生活扶助費3.1億円、医療扶助費15.6億円を含む18億円強の減少などがそれである。
現場や生活保護利用者の生活という観点に立てば、都島区の医療扶助に何が起こっているのか?浪速区の生活扶助に何が起こっているのか?西成区の生活扶助・医療扶助に何が起こっているのか?ということであり、生活扶助費が減少する条件として、保護(停)廃止措置の増加、扶養義務調査とその履行や就労指導の強化などの徹底が推察できる。
さらには、ここには反映されていない平成25年8月、平成26年4月に実施された生活保護費の切り下げ、西成区あいりん地区において住居を有しない人に対する敷金支給等を行っていた大阪市立更生相談所が平成26年4月に廃止されたことなどを受け、この傾向はさらに強まることが予想される。
17頁(不正受給調査専任チームの取り組み)
大阪市は、平成24年4月、警察官OBを含む不正受給調査専任チームを全区に設置し、不正受給防止に向けた取組みを強化している。そこで不正受給を疑う重点的調査案件が挙げられ、平成24年継続案件482件、平成25年度4か月間の新規案件456件の合計938件について、不正受給調査専任チームが対応を行っている。
重点調査は、西成区・浪速区が突出している。その一方で、申請却下・停止・廃止件数合計が94件(重点調査件数比10%)、78条返還58件(重点調査件数比6%)という実績である。また、この取り組みは、新規開始時の調査や保護決定後に行う生活実態の把握など、不正受給の未然防止に向けて強化されるようである。
以上に加え、新規開始件数の抑制という形で生活保護世帯の減少に寄与している問題もある。
国等の監査において、たびたび指摘されているところであるが、大阪市各区が生活に困窮して福祉事務所を訪ねる者に対して交付している「連絡票」、「相談受付票」という独自書式による積極的申請権侵害や申請したくてもさせてもらえないという水際作戦が相変わらず維持されていることを窺わせる事例が確認されている。
たとえば、平成25年12月の数値では、鶴見区では60件の面接のうち42件が相談扱いとされて申請数は18件、都島区では86件の面接のうち58件が相談扱いとされて申請数は28件、西成区では627件の面接のうち416件が相談扱いとされて申請数は211件となっており、面接件数に占める申請数は3割程度ときわめて低迷している。一方、面接に訪れた6割強の人が申請することができている区もあり、申請事務の低減のための前処理というには看過しえないほどの歴然たる差が出ている。
2,評価
(1)生活保護利用者に対する締め付けの強化
世帯類型を問わず、扶養義務の履行等による私的扶助の拡大、また、稼働年齢層に対する就労指導の強化等によって、生活扶助費を減少、または、保護世帯を減少させている問題、また保護費の大半を占めるとされている医療費を抑制するあらゆる対応が行われている疑いがある。
この点について、大阪市は「仕送りのめやす」という独自資料を作成し、また、行き過ぎた就労指導指示、介護扶助費等について保護利用者に自弁を求める問題があり、具体的事例にあたり、調査を行う必要がある。
(2)要保護者の締め出しの強化
監査意見等においても度々指摘されているとおり、各区において独自に連絡票や相談受付票と称する書式を作成し、申請と扱わない例や、とりわけ、稼働年齢層にあるとされている要保護者に対する生活保護申請について、大阪市は「保護申請時における就労にかかる助言指導のガイドライン」(平成23年1月策定)を策定し、「助言」に名を借りた違法・無効な「指導指示」を行い、法定期間を遵守せず、また保護却下している例がある。
この点について、具体的事例にあたり、調査を行う必要がある。とりわけ、改正生活保護法を受けて各区役所申請窓口に申請書の備え置きを徹底する必要がある。
(3)実施体制及び不正受給キャンペーンの実態
保護費抑制の要因として大阪市は不正受給対策等適正化の取り組みを挙げている。具体的には、全区福祉事務所に警察官OBを配置し、不正受給とは無関係な生活保護利用者に対してもプレッシャーを与えるチラシを配布するなど、実施体制(充足率等)の改善ではなく、生活保護法28条調査を犯罪捜査化している問題がある。
生活保護の権利性を踏まえず、生活保護費抑制策を実施するために、市民に対して生活保護制度に対する誤った印象を与えている。この点について、福祉事務所の実施体制と併せて、行き過ぎた不正受給対策についても、具体的事例にあたり、実態を調査する必要がある。
2014年4月03日 | カテゴリー:日記
映画「60万回のトライ」を見ました。
夢があって、苦難を一つずつ乗り越えていく、高校生という人格形成上重要で多感な世代の生の顔に「青春やん、素敵やん」と素直に感動しました。
描かれている子どもたちの青春は、誰であれ、また、誰によっても、奪われてはならないものだと思います。
朝鮮学校という、知らないものだから、試みようにも言葉ではうまく表現できず、それを一度見れば理解できる、ドキュメンタリーの真骨頂を見た思いです。きっと言葉は伝える側の主観が多くを決めてしまうのに対し、映像は見る側の主観によって理解できるからではないでしょうか。自分にとって同じ価値を持つものはなんだろうか、、同じものがないとしてこれに相当するものってなんだろうか、、と置き換えてみることで、その人にとってそれがどれほど大切なものかを理解することができます。いやー、たくさんの方にぜひ見ていただきたいと思いました。
上映後、朴思柔(パク・サユ)朴敦史(パク・トンサ)両監督が登場され、撮影時や編集時の想いをお聴きしました。なんでもこの映画を見るときは、ハンカチでは足りない、バスタオル持ってけ、と評判だそうです。なるほど・・・・いつの間にか、自分の視点が親の目線になっていて、涙腺解放、よいストレス発散にもなりました。おススメです。
2014年4月01日 | カテゴリー:お知らせ
本日、生活保護基準引き下げ第2段階が実施されました。消費税8%の実施措置(引き上げ)も併せて行われているため分かりづらいのですが、確実に最低生活費は下がりました。
(詳細は、http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/ や http://ameblo.jp/seiho-shinsaseikyu/ をご覧ください)
生活保護「改正」法施行を目前に控え、大阪の生活保護各部署にて、法律を誤った違法な運用が行われている問題について、大阪市生活保護行政問題調査団を組織し、適法な運用を求めた取り組みを行うことになっています。まずは、こうした違法な運用事例を調査するため、4月9日(水)午前10時~午後5時まで、フリーダイヤル0120-607-361で特設ホットラインを開催します。
問題となっている例
①生活保護を申請したばかりでまだ開始決定も出ていないのに、福祉事務所からハローワークを通じた具体的な求職活動を行うよう指示されたり、「仕事に就くこと」を求められている事例
②生活保護を受けているという親族がおり、長く音信も交流も途絶えていたのに、福祉事務所から突然、親族だから養えないかという連絡がきた事例
③介護を必要とする生活保護利用者が、車いすなどの福祉用具を必要としているが、福祉事務所から介護扶助の対象となる1割を自弁するよう言われ、貯めておいた保護費を充てざるを得なくなる事例
④後発医薬品は病状に対する薬効が違うので、先薬を使い続けたいが、福祉事務所から後発薬に切り替えなければならないといわれている事例
などです。また、不正受給は決して許されない問題ですが、一部の不正受給事例をなんら問題のない大部分の生活保護利用者までがそうであるというような風潮が広がっていますが、この風潮に乗じるかのように、生活保護利用者に対して不必要な圧力を与える福祉事務所も報告されています。
同時に、生活保護行政を担当する福祉事務所で働く職員の就労環境や実施体制がきわめて低下しており、たとえば、充足率は61%と政令市・中核市の中でも最下位となっています。充足率は、あるべき標準配置職員数に占める現実人員の割合をいい、数値が低いほど、一人のケースワーカーがより多くのケースを担当していることになりその負担が大きいことを意味します。
特に2008年のリーマンショック以降、生活保護を必要とする人が増え、職場は圧倒されたことから、官製ワーキングプアと呼ばれる劣悪な労働条件で働く任期付職員、非常勤嘱託職員の方々が増えています。熟練職員が減り、知識やノウハウの承継が不十分なため、職員の疲弊度はますます強まっています。この間の同行支援などで感じるのは、このままでは大変なことになる、と現場の職員一人ひとりは気づいていながらも、自分たちでは修復したり、速度を緩めたり、方向転換できないほど大きな慣性力のようなものがあって、声を上げられない雰囲気を感じることもあります。
こうした悪循環やボタンの掛け違えを改善させる取り組みとして、5月に調査団活動を行う予定です。